虹の橋の伝説

虹の橋の伝説新しい年に変わった。

ということは、未紗が逝ってから半年たっているわけだ。

私とプーリーとドゥージーが残された。

未紗ひとりが逝ってしまった。

違う世界で、寂しがっていないだろうか。

いや、未紗には5年前に先立って逝ったミンミンがいるはずだ。

5年ぶりにミンミンに会って、喜んでいるに違いない。

そう思おう。

 

18世紀のロンドンにブレイクという詩人がいた。

ウィリアム・ブレイク(William Blake)

1757~1827

幼少時代から、窓の外に天使の姿を見たり、神の世界が現れて見えたりし、長じてはそれがそのまま詩となってほとばしり出、「幻視の詩人」と呼ばれるようになった。

このブレイクに「虹の橋の伝説(Legend of Rainbow bridge)」という詩がある。

 

       虹の橋の伝説

 

天国の手前に「虹の橋」はある

この世でひとの友として生きた動物たちが暮らしている

 

 美しい草原

 緑の丘

 

それは動物たちが駆け回って遊ぶところ

好物は食べ放題

きれいな水も溢れている

毎日温かい太陽に包まれて

みんなみんな小さな友が

のどかに幸せに暮らすところ

 

虹の橋の伝説病に倒れた子も

年老いて逝った子も

みんな若さと健やかさを取り戻し

傷ついた子も

障害を持った子も

みんな夢に見た昔の

元気な姿に還っている

 

どの子もこの上ない幸せに満ち溢れている

 

ひとつだけの気がかりは

あとに残してきた友のこと

悲しんで送り出してくれた人間のこと

 

それもいつかは来るだろう

駆け回り遊んでいて

ふと立ち止まり

遠くの丘に目を向けるときが

いつかは来るだろう

 

虹の橋の伝説友の口笛が聞こえ

自分の名を呼ぶ声がして

喜びに目を輝かせ

うれしさに身を震わせる

そんな日が来ることを

 

そして子は

群れを離れて草原を走る

勢いよく弾んで走る

 

そう

友は遠くにあなたの姿を見たのだ

とうとう待っていた再会のとき

あなたは友を強く抱きしめる

この懐かしい友と

二度と離れたくないから

顔じゅうに口づけを受け

昔のままの可愛い頭を撫でる

 

虹の橋の伝説友は昔のままの汚れのない瞳で

あなたを見つめる

ずっと前に別れてから

決して忘れることのなかった

友の目だ

 

さあ、愛する友と一緒に

橋を渡ろう

天国へと続く「虹の橋」を

 

 

未紗は、ミンミンと一緒に「虹の橋」を渡ったろうか。

未紗の写真に問いかける。

未紗は少し微笑んだようだ。

穏やかな冬が続ている。

 

 

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