行く夏に

 行く夏に「ノアノア」が終わった。

ということは、私たちの葉山の夏が終わったということ。

2か月の間、ほとんど毎日、私たちは「ノアノア」の白い椅子に坐って、ビールを飲み、ワインを味わい、軽い食事「ゴリジナル」を食べていた。

その「ノアノア」がなくなって、私たちは途方に暮れている、というのは少々オーバーだが、これからどうしようか。

どこで飲もうか。

散歩のあと、どこかで飲むのをやめて、少なくして、「テリーズバー」か「ミユキハウス」での夕食にしようか。

この悩みは、昨年も感じていて、このブログにも書いたはずで、そして結局はすぐ近くの「エスメラルダ」に毎夕通い詰めることになり、1年前と同じ日常を繰り返すことになるのはわかっている。

それでも、「ノアノア」がしまい、夏が終わった実感は、なぜか妙に感傷的な気分にしてくれるものだ。

 

行く夏に夏が終わり、夏を振り返ってみると、今年の夏はいろいろなことがあった。

いや、昨年夏のほうが、もっといろいろあったかもしれないし、事実そうなんだろうが、夏が過ぎ去ったばかりのいまのほうがより強く感じられるのは、仕方のないことかもしれない。

と書いてきて、読者の苦言が聞こえてくる気がする。

いろいろあった、というにしては、長い間なにも書いていなかったではないか。まるで、なにもなかったように、長期に更新をさぼっていたではないか。

そうなのです。

いいわけをしましょう。

いろいろなことがあったから、ありすぎたから、書けなかった。

ひとつのできごとに出会った。参加した。

これはぜひ書かなければならない。

そう思って、文章の構成を考えているうちに、次の何事かが起こる。始まる。

これも書かなければ。

すると、前の話はあとまわしか。

いや、順序通り、前のことを書いて、次に新しい話を書く。それではどうか。うーん、どうしようか。

などと迷っているうちに、さらに新しい興味が湧くできごと。

困ったな。どうしようか。

ということの連続で、結果として長いお休みになってしまった。

 

行く夏にあるときは、もうやめてしまってもいいか、と思ったこともある。

この歳にしてみゆきと「歳の差結婚」をし、そのことを一冊の本にし、多くのひとに読んでもらい、祝福を受けた。

これに勝るものはない。

だから、この文章も、そろそろおしまいにしてもいいのではないか。 

そう思ったのだが、みゆきは、

「そ~お。そうなの?」

としながらもこういった。

「わたしたちがこういう形で幸せになれたのは、それが終点じゃないんじゃないのかしら。これからの、わたしたちの時代の、いまが始まりじゃないのかしら」

そして、続けた。

「テリーが書いたものを読むのが、わたしの大きな楽しみなのよ。喜びなのよ。同じ場所にいて、同じ体験が書かれていても、テリーの文章で読むと、それが何倍にもなって心に響くの」

だから、書いて。

こういわれると弱いんだな。

書きます。書きますよ。ほかに能力がないのだから。

 

改めて書き始めるにしても、一応連載なので、夏のあいだのことをすっ飛ばしていいわけではない。

夏のできごと、感想、感動を、コンパクトにまとめ、

 

    『総括の夏』

 

として、次回からの2、3回に分けて書く。

その間に新たな感銘ばなしがあれば、それも挟む。

 

行く夏にということで、弁解と予告と小さなおのろけをお届けしたのだが、そのあまりにもの内容のなさにはじて、今回は特別寄稿として、「みゆきの文章」を掲載しよう。

みゆきが4年前にアメリカから帰ってきてしばらくたって、アメリカでの友人知人、日本での以前からの知り合い、友達に宛てて書き送っていた「葉山だより」。

その最新版で、私たちの日常に触れている。

どうやら私があまりにもさぼっているので、仕方なく書き送ったようだが、私には書けない視線での一文なので、読んでやってほしい。

なかなかの文章ですよ。

 

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アメリカと日本の皆様

 

行く夏に昨日から書き始めた葉山の夏の思い出話ですが、さっそく昨日の訂正から始めます。写真の2枚目は「猫」ではなく、カラフルな缶が3本。一応、今日も添付しておきます。ビールのように見えるけれど、実は各種ノンアルビールたち。最近、どこのメーカーでも力を入れて開発しています。飲酒運転をなくすため、悲しい事故を未然に防ぐためでしょう。この夏、そんな流れに便乗するかのように、「僕の主食はビール」と言い切るテリーと「ビールは私の健康法」と言う私が、揃ってノンアルビールを飲み始めました。

 

きっかけは、テリーの健康診断の結果と、私のちょっとしたお腹の不調でした。一緒に通っている葉山のかかりつけのお医者様に「腸が炎症を起こしています」「体が冷えてますね」「ビタミンBが欠乏して、エネルギー不足になっています」と2人がまったく同じ診断を下されたのです。一緒にご飯を食べて1年以上ですから体調が似てくるのは当たり前なのかもしれませんが、ここまでお揃いになるとはねぇ。この結果にショックを受けた私が、家庭での食事を見直すきっかけとなりました。腸の炎症も、ビタミンB不足も、体の冷えも、どれも冷たいビールが主な原因だそうです。それに加えて夏だからと、ナスやトマトやきゅうり、冷たいスープやマリネなどの体を冷やすおかずが多く、お昼には氷を浮かべたお素麺や冷麺を好んで食卓にのせていました。

そうそう、ドクターには「タンパク質が足りませんねえ」とも言われました。これも大反省。テリーも私も野菜好き。肉が嫌いなわけじゃないけど、まず野菜をもりもり食べる習慣があり、おかげで体型は年の割には二人ともすっきりしています。野菜は「体の調子を整える食物」なので、それを摂るのはちっとも悪いことではありません。が、肉や魚、豆などのたんぱく質は「体を作る食物」なので、とても大切なのですね。野菜を多く摂る私たちは、体の調子を整えることには長けていても、体という本体を作ることをおろそかにしてしまったようでした。

たいへんだぁ。食事担当者の私は青くなりました。そして2人で話し合って、次の2つのことを決めました。

行く夏に

 

1. 空きっ腹にキンキンに冷えたビールを飲まないこと。また、アルコールは消化する際にビタミンBをたくさん消費するので、2〜3杯目以降はノンアルビールにすること。

2. 週に1回は焼肉ナイトをして、しっかりタンパク質を摂ること。外食でメニューを決めるときにも「タンパク質は?」とお互いに注意すること。

 

これらをできるだけ実践して1ヶ月になりますが、おかげでテリーも私も体調がとてもよろしくなりました。最初のうち、テリーは「ノンアルビールも結構美味しいね」と気に入ってゴクゴク飲んでいましたが、「やっぱりノンアルでは、そんなに量が飲めないや」と量が減り、すでに食事中からハーブティーに切り替えるようになり、一年前はビール4〜5杯の後に2人でワインを1本、ときには2本空けていたのが嘘のよう。最近では2人とも温かいルイボスティーがお気に入りの飲み物になってしまったのです。 ずっとキリンの一番搾りの配達をしてもらっていた一色の酒屋さんがあるのですが、私たちからぷっつりと注文がなくなって、「さぞ心配しているだろうねぇ」「元気ですよ、ってご挨拶に行った方がいいかしら」と、気にして話している2人なのです。 この最後の写真、大正屋という葉山の昔ながらの氷屋さんで今年初の『ミルク宇治金時』を楽しむ私たち、なのですが、実はこの翌日に「お2人とも体が冷えていますね」との診断を下されてしまったので、この夏の氷はこれが最初で最期になってしまいました。食べといて良かったぁ。

ではまた次回。 さっそく昨日のメールにお返事くださった方、ありがとう!

ミユキ

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ずいぶん前に、みゆきのこうしたメールを紹介したことがあるが、そのときと比べてかなり文章力の上達が見られるではないか。といえば「オヤバカ」のそしりを免れないかもしれないが、これまでのみゆきのメールを見て、私がいったことはひとつだけ。

「書くということは、いかに書かないか。無駄を省くか。いかに削るか、だよ」

偉そうに、という感じだが、その言葉が少しは生かされている気がする。 少なくとも、なにをいいたいのか、話があちこちしてよくわからない、ということはなくなっている。

皆さん、私のみゆきに、拍手!

 

 

行く夏に

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